INTERVIEW

風力発電用ブレードの 新たなサプライチェーン構築に挑む。
複合材料部複合材料第1課
航空システム工学科卒
2014年度入社

東レインターナショナルに入社を決めた理由を教えてください。

大学では航空システム工学科で航空力学や設計、制御を学び、私自身は炭素繊維を使用した航空機の構造について深く研究しました。一方で、もうひとつ関心を持っていた分野があり、それがロジスティクスでした。航空機にも使用される炭素繊維を扱うことができ、かつ物流の分野に携わることができる。そんな欲張りな希望を満たせる企業が、東レの商社機能を司る当社だったのです。

入社後、印象に残っているプロジェクトについて教えてください。

入社後は大阪の機材部に配属され、そこで早々に任されたのが米国向け炭素繊維製造プラント輸送のプロジェクトです。東レの炭素繊維は世界中に需要があり、グローバルな安定供給を実現するためには、世界各地に生産拠点を置く必要があります。しかし、日本国内と同じ品質を維持するためには、製造機器もまた日本国内とまったく同じものを用意しなくてはなりません。当社に任されたのは、その製造機器の手配と輸送です。そこで米国現地法人や東レ、各製造機器メーカーなど多くの担当者と緊密に連携し、細かな調整を行うことで、なんとか期限内に設備プラントを輸送し終えることができました。

若手社員に大きなプロジェクトを任せる風土があるのですね。

入社後の数年間でこれほど大きなプロジェクトを任せてくれたこと。そしてさまざまなトラブルに見舞われながらも、ミッションを達成できたことは、まだ若造だった私に大きな経験と自信を与えてくれました。もちろん、当時の私にとって手応えのあった案件だったとはいえ、これを私の代表作にするつもりは毛頭ありません。2019年に複合材料部へ異動して、現在手がけているプロジェクトのひとつが、風力発電用ブレード材料の国内委託生産。こちらもミッションコンプリートすればかなり大きな手応えを感じることができると思っています。

風力発電用ブレード材料の
国内委託生産プロジェクトとはどのようなものですか?

カーボンニュートラルへの流れを受けて、今、世界中で風力発電へのニーズが高まっています。発電量を大きくするにはブレードと呼ばれる風車の羽根を大型化する必要があります。大型化するためには、軽量化が必要となり、炭素繊維複合材料の使用が必須となっており、現在では大型ブレード構造材の多くに、東レグループのZOLTEK社の炭素繊維が用いられています。
現在進めているプロジェクトは、ZOLTEK社の炭素繊維を使用したブレード構造材を国内で委託生産し、海外のブレードメーカーに供給する新たなサプライチェーンを構築しようというものです。これまで日本では、台風や地震の多い自然環境や、設置に適した場所が少ないことなどから欧米と比べて風力発電の普及が遅れていましたが、領海や排他的経済水域が広いため、洋上風力発電に期待が向けられています。将来的にはこの洋上風力発電の分野で、素材生産から使用までをすべて日本国内で完結させる、壮大なビジョンも描いています。

ご自身が感じている仕事の面白さ、難しさとは?

今、世界の物流網は混乱の只中にあります。新型コロナ感染症に端を発したコンテナ不足や上海のロックダウン、さらにはロシアのウクライナ侵攻まで重なり想定外の事象が日々発生しています。そうした中で物流管理を全うするのは容易なことではありません。航路を選ぶのか、空路に切り替えるのか。スケジュールと経費を睨みつつ柔軟に判断しなくてはなりませんし、どうしても材料輸送が間に合わない場合には、生産調整を依頼しなくてはならない事態も生じます。当然、グローバルに広がる数多くのステークスホルダーとの協議、調整するスキルが求められます。これこそが物流管理の難しさであり、同時に面白さでもあると私は思っています。

大学時代の専攻が活かせていると実感する場面はありますか?

そうですね、物流の優先順位を決める場合などは、関係各所と技術的な話をすることも多いため、当然専門知識も求められます。そういった意味では大学時代に学んだ炭素繊維の知識が業務に活かせることも、私にとっては面白さを感じるひとつの要因になっています。困難な事態であればあるほど、組織の強みや自分の知見を活かしてミッションをコンプリートした時の喜びは格別です。

AFTER WORK

新型コロナ感染症で趣味の海外旅行に行けなくなり、代わりに始めたダイビングにすっかりハマっています。今は、月に1度、伊豆や和歌山の海でダイビングを楽しんでいます。雄大な海に囲まれていると、人間はなんてちっぽけなんだと、無駄な力が抜けて謙虚な気持ちになります。